家政婦(夫)として高齢者のために気を付ける掃除のポイント

家政婦(夫)として高齢者のために気を付ける掃除のポイント

家政婦(夫)として仕事するなかでは、依頼主の家を掃除をするという機会が数多く訪れるでしょう。しかし高齢者の部屋を掃除するというのは、ただ部屋を綺麗に片づければ良いというだけではありません。高齢者が快適に思えるように気を配る必要があります。掃除し終わってから「元の状態に戻して欲しい」と言われても対応するのは難しいでしょう。

依頼主とのトラブルを避けるためにも、高齢者の部屋を掃除するときに大切なポイントを、実践的な方法でお伝えします。

1.サービスとしての掃除の需要

日頃から活動的に動いているという高齢者の場合は、掃除の必要が無いように感じるかもしれません。しかし高齢になると老眼が進んだり、何らかの病気で視力が落ちたりするせいで細かいホコリが見えにくくなっていることが非常に多いです。さらに筋力が低下して、掃除機などの重量のある掃除用具が持てなくなってしまい、掃除が行き届いていないということもあります。

介護保険を使ってヘルパーに掃除をしてもらうことも可能ですが、介護保険での掃除は「日常的な家事」や「本人に関わること」と内容が限定されてしまいます。日常的に本人が使用している部屋のみが対象になることが多く、例えば「車の洗車」「エアコンのフィルター掃除」「庭掃除」「家具の下の掃除」などは対象外になることが殆どです。

ですから高齢者が家政婦(夫)サービスを利用して、家の掃除を頼む人が多いのも当然のことだと言えます。家で過ごしている高齢者にとっては、住まい全体が快適な状態になって欲しいと願うのは当然のことだからです。

2.認知機能の低下と掃除

認知機能が低下しているせいで、片づけの判断が上手に出来なくなってしまっているということもあります。ゴミを収集日に出すことが難しく感じているかもしれません。家政婦(夫)としてゴミ屋敷と呼ばれるような家に行って掃除することは殆ど無いかもしれませんが、依頼主の認知機能が進んでそのような傾向が見られるという時には、依頼主の家族やスタッフに相談した方が良いでしょう。

3.不潔による病気のリスク

部屋を清潔な状態にしておくことで、新たな病気になるリスクを減らすこともできます。ゴミが多いとホコリやハウスダストを吸引してしまうので、「喘息(ぜんそく)」や「アレルギー」を発症してしまう可能性があります。高齢者は特に注意が必要で、喘息が進むと肺炎になって命を落としてしまうことがあります。

またカビが大量に発生してしまうことで人体に悪い影響を与えてしまうことがあります。特にカビは感染症を発症する危険性が高いです。代表的なものとしては「気管支肺アスペルギルス症」という肺にカビが生えてしまう病気があります。さらに高齢者は免疫力が弱いため「クリプトコッカス菌」という病気にも気をつける必要があります。症状としては咳や胸痛があり、悪化すると呼吸困難になってしまう可能性もあります。

もし依頼主の体調に変化が見られたら、迷わず医療機関を頼るようにしましょう。

4.掃除のポイント

では実際にどのように掃除を行うときに気をつければ良いのでしょうか?3つのポイントに分けて考えてみましょう。

①本人の意向を汲んでから作業する

家というのは本人のこだわりが強く表れるものです。思い出のある物や大切にしている物など人によって違うでしょう。ですから勝手に捨てたり移動させるのでは無く、依頼主にしっかりと確認してから掃除に取り掛かりましょう。あれやこれやと掃除したくなる気持ちはわかりますが、やり過ぎないように心掛けましょう。

②床に物を置かないようにする

インテリアは様々な種類がありますが、高齢者の部屋の場合は転倒に繋がらないよう床に物を置かないように気を付けましょう。片づけるときには床では無く、棚や机の上に置くようにしましょう。転倒は高齢者にとって入院になってしまうような大きな事故に繋がることもあるので要注意です。

③負担の少ない掃除環境をつくる

依頼主が普段から掃除しやすいような環境をつくることもできます。家政婦(夫)として掃除が必要なことには変わりありませんが、自分が訪問できない期間でも簡単に清潔感を保てるように気遣いを示すことができます。掃除できない理由が体力的な問題であれば、掃除機の他にクイックルワイパーや除菌シートを購入しておき、高齢者でも無理なくパパっと掃除できる環境を整えてあげると親切でしょう。

特に最近では新型ウイルスの影響もあり、家のドアノブや外出に使った鞄、スマートフォンの画面などをこまめに掃除した方が良いと言われています。そのため簡単に清掃できる環境を用意しておくのは感染面で考えても依頼主に喜ばれるでしょう。

5.まとめ

高齢者にとって欠かせない掃除をどのように家政婦(夫)としてサポートできるのか考えました。介護保険の範囲で行える掃除には限界があり、家政婦(夫)サービスでの需要が増えています。清潔さを保つことで新たな病気へのリスクを避けることができます。3つのポイントに注意しつつ、依頼主の意向を尊重して作業しましょう。

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