障害福祉サービスの中でも、障害のある方が自立した日常生活や社会生活を送るために、必要な支援や援助を行う『介護給付』。
今回は『介護給付』のサービス内容や対象となる方について詳しく紹介します。
障害福祉サービスの『介護給付』を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
障害福祉サービスとは
障害福祉サービスとは、障害者総合支援法に基づいて提供されるサービスの総称です。
介護や支援が必要であると認められた方に対して、必要な支援を行う『介護給付』と、社会生活を営むために必要な知識や能力の訓練を行う『訓練等給付』に分かれます。
知的障害や身体障害、精神障害と大きく障害は分けられていても、人それぞれで必要となる支援は異なります。
障害福祉サービスはその方にとって最適な支援を組み合わせて提供することが出来ますので、快適な日常生活を送ったり、自立した社会生活を送るために必要な訓練や支援を行うことが出来ます。
今回は、障害福祉サービスの中でも『介護給付』のサービス内容や対象となる方について解説します。
【介護給付版】障害福祉サービスの内容や対象者一覧
①居宅介護
居宅介護は障害者総合支援法に基づいて行われる障害福祉サービスの1つで、日常生活の支援を行う障害福祉サービスの基本となる介護サービスです。
入浴や排泄、食事などの介護だけでなく、調理や洗濯といった家事、生活や将来に関する相談や助言などを行い、障害がある方の日常生活を全般的に援助していきます。
対象者
・障害支援区分が区分1以上の方
・障害を抱えているのが児童や子どもの場合であれば、障害支援区分の区分1以上程度に相当する方
・通院等の介助を算定する場合には以下のいずれにも該当しなければなりません
(1)障害支援区分が区分2以上である
(2)障害支援区分の認定調査項目より1つ以上該当している方
歩行:全面的な介護が必要
移乗:見守り等の支援が必要、部分的な支援が必要、全面的な支援が必要
移動;見守り等の支援が必要、部分的な支援が必要、全面的な支援が必要
排尿;部分的な支援が必要、全面的な支援が必要
排便:部分的な支援が必要、全面的な支援が必要
②重度訪問介護
重度の知的障害や精神障害、肢体不自由者により、日常生活などの行動が著しく困難な障害者の方で、常に支援や介護が必要な場合において、自宅で入浴や排泄、食事などの支援を行います。
他にも調理や掃除、洗濯といった家事や、生活等に関する相談や助言といった全般的な援助も行っていくと共に、コミュニケーションを図ったり外出の際の付き添いや見守りも援助していくことが可能です。
重度訪問介護は長時間利用することが想定された障害福祉サービスですので、報酬単価も8時間勤務でヘルパーが3人つき、1日中きちんと支援出来るように定められています。
対象者
・障害支援区分が区分4以上の方で以下のいずれかに該当することが条件になります。(病院に入院していたり、入所していながら利用する場合には区分6が必要です。)
(1)二肢以上に麻痺がある
(2)障害者支援区分の認定調査項目の中で、「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも支援が不要以外に認定されている
・障害者支援区分の認定調査項目のうち、行動関連項目である12項目が合計10点以上である方
③同行援護
家の中と比べて車や電車など危険が多く存在する外出は、視覚障害の方にとっては細心の注意をはらっていかなければなりません。
視覚障害者のように、移動をする時に著しい困難がある方につき、外出時において利用者に同行して移動に必要な援護を行ったり、必要な情報を正しく伝えたりと、外出を行う際に必要となる支援や援助を行います。
対象者
・視覚障害により移動に著しい困難がある方
・同行援護アセスメント調査票による調査項目の中で「視力障害」「視野障害」「夜盲」のいずれかが1点以上あり、かつ「移動障害」も1点以上ある方
*同行援護においては障害支援区分の認定は必要ありません。
④行動援護
知的障害や精神障害のある方の中でも著しく行動に困難があるために、外出や行動をする際に生じる可能性がある危険を回避するために必要な援護を行ったり、移動中の支援や介護といった行動に必要となる援助を全般的に行います。
障害の特性を理解した専門性の高いスタッフが援護を行いサポートをします。
対象者
・障害者支援区分が区分3以上でかつ、障害支援区分の認定調査項目内で、行動関連項目の12項目の方形が10点以上の方
・18歳未満の場合には、障害支援区分が区分3程度の支援が必要な方
⑤療養介護
療養介護とは知的障害や精神障害がある方で、医療機関での医療ケアに加えて、介護が常に必要な方に、おもに昼間おいて支援や援助を行います。
援助の内容としては、機能訓練、療養上の管理、看護、医療的な介護から日常生活における世話になります。
これは障害者総合支援法に基づくもので、療養介護の中でも医療関係のものを療養介護医療と言います。
対象者
・長期の入院を行う上に医療的ケアに加えて、障害常に介護を必要とする方で具体的な対象者は以下になります。
(1)筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者気管切開を伴う人工呼吸器による呼吸管理を行っており、障害支援区分が区分6の方
(2)筋ジストロフィー患者または重症心身障害であって障害程度区分が区分5以上の方
(3)改正前の児童福祉法第43条の4に規定する重症心身障害児施設に入居した方、または改正前の児童福祉法第7条第6項に規定する指定医療機関に入所した方であり、平成24年4月1日以降指定療養介護事業所を利用する(1)および(2)以外の方
⑥生活介護
障害者支援施設などで常に介護を行う必要がある方に対して、日中において入浴や食事、排泄といった生活を送る上での介護から、調理や洗濯といった家事の援助を行います。
また、生活や将来についての相談や助言だけでなく、コミュニケーションをや日常生活を送る上で必要となる全般的な支援を行うと共に、日中の生産活動などの提供も行い生活能力の向上や、自立の促進、障害がある方の社会進出や地域社会との交流の架け橋になります。
対象者
・入所施設において、安定した生活を送るために、常に介護や援助、支援が必要な方。
具体的な対象者は以下になります。
(1)障害支援区分が区分3以上の方(障害者支援施設に入所している方は区分4以上が必要)
(2)障害支援区分が区分2以上でかつ年齢が50歳以上の方(障害者支援施設に入所している方は区分3以上が必要)
(3)生活介護と施設入所支援の組み合わせを希望しており、障害支援区分が区分4よりも低く、指定特定相談支援事業者によるサービス等の利用計画案を作成する手続きを経た方で、市町村により組み合わせの必要性が認められている方
*(3)については以下の方は原則として平成24年4月以降の支給決定の更新時にサービス等利用計画案の作成を行った場合に引き続き生活介護を利用することが出来ます。
・障害者自立支援法の施工時の身体、知的の旧法施設の利用者(特定旧法受給者)
・法施行後に旧法施設に入所し、継続して入所している方
・平成24年4月の改正児童福祉法の施工の際に障害児施設に入所している方(指定医療機関も含む)
・障害支援区分が区分1以上の新規の入所希望者
⑦短期入所・ショートステイ
基本は自宅での介護になるものの、介護者が冠婚葬祭や介護の休息、病気や事故などの理由により自宅で介護を行うことが困難になってしまった場合に、障害のある方に障害者支援施設や児童福祉施設などに一時的に入居することが出来る障害福祉サービスです。
障害者支援施設へ入所している時は、他の利用者と変わらず入浴や食事、排泄といった利用者にとって必要な支援や介護が行われます。
対象者
『障害者支援施設において実施される福祉型の場合』
・障害者支援区分が区分1以上の方
・障害児の場合であれば、必要な支援の度合いに応じて厚生労働大臣が定める区分1以上に該当する児童
『病院や診療所などの医療機関で実施される医療型の場合』
・遷延性意識障害の方や児童、筋萎縮性側索硬化症(ALS) の運動ニューロン疾患の分類に属する疾患を有するもの、重症心身障害の方と児童など
⑧重度障害者等包括支援
最重度の障害のある方のための障害福祉サービスで、常に介護を必要とする上に意思疎通に対して著しく支障がある方に居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所(ショートステイ)などのサービスを包括的に提供します。
四肢の麻痺や寝たきりの状態、知的障害と精神障害により行動上著しく困難な方が地域社会や生活を送るために手厚い支援を行います。
対象者
・障害支援区部が区分6である方で、意思疎通に著しく困難な方が対象になり、以下のいずれかに該当する方
類型 |
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状態像 |
重度訪問介護に対象であって、四肢すべてに麻痺等があり、寝たきりの状態にある障害者の名かで右のいずれかに該当する方
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人工呼吸器による呼吸管理を行っている身体障害者(Ⅰ類型*1) |
・筋ジストロフィー ・脊椎損傷 ・筋萎縮性側索硬化症(ALS) ・遷延性意識障害等 |
最重度知的障害者(Ⅱ類型*2) |
・重度心身障害者等 |
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障害者支援区分の認定調査項目のうち、行動関連項目な12項目の合計点数が10点以上ある方(Ⅲ類型*3)
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・強度行動障害等 |
(引用:厚生労働省『障害福祉サービスの内容』)
(Ⅰ類型)
①障害支援区分が区分6の重度訪問介護の対象者
②医師意見書の『2.身体状態に関する意見』の中の『(3)麻痺』における「左上肢 右上肢 左下肢 右下肢」において、いずれも「ある」に認定されていること。
なお、医師意見書の『2.身体の状態に関する意見』の中の『(2)四肢欠損』『(4)筋力の低下』『(5)関節の拘縮』は『麻痺』に準ずるものになります。
③認定調査項目『1群 起居動作 寝返り』において『全面的な支援が必要』と認定されていること。
④認定調査項目『10群 特別な医療 レスピレーター』において『ある』と認定されていること。
⑤認定調査項目『6群 認知機能 コミュニケーシ』において『日常生活に支障がない』以外に認定されていること。
(Ⅱ類型)
①概況調査において知的障害の程度が『最重度』と確定されていること。
②障害支援区分6の『重度訪問介護』の対象者であること。
③意思意見書の『2.身体の状態に関する意見』の中の『(3)麻痺』における『左上肢 右上肢 左下肢 右下肢』においてもいずれも「ある」に認定されていること。
なお、医師意見書の『2.身体の状態に関する意見』の中の『(2)四肢欠損』『(4)筋力の低下』『(5)関節の拘縮』は『麻痺』に準ずるものになります。
③認定調査項目『1群 起居動作 寝返り』において『全面的な支援が必要』と認定されていること。
④認定調査項目『10群 特別な医療 レスピレーター』において『ある』と認定されていること。
⑤認定調査項目『6群 認知機能 コミュニケーション』において『日常生活に支障がない』以外に認定されていること。
(Ⅲ類型)
①障害支援区分6の「行動援護」の対象者である。
②認定調査項目『6群 認知機能 コミュニケーション』において、「日常生活に支障がない」以外に認定されている。
③障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目の中の12項目の合計点数が10点以上である方(児童はこれに相当する支援の度合いがある方)
『引用:WAMNET「重度障害者等包括支援」』
⑨施設入所支援
施設に入所する方において、主に夜間に食事や入浴、排せつ等の生活上の介護から、生活や将来に関する相談を受けたり、それに対して助言を行ったりと生活全般の支援を行います。
施設入所支援は基本的に夜間の支援になりますので、日中は生活介護などの障害福祉サービスを合わせて行うことで、障害を抱えている方の日常生活を支援していきます。
対象者
・生活介護を受けている者で、障害支援区分が区分4以上である方。(50歳以上の方の場合には、障害支援区分は区分3以上であればよい)
・自立訓練や就労移行支援、または就労継続支援B型の利用者で入所させながら訓練などを行う必要があり、かつ訓練などが効果的であると認められる方、または通所によって訓練を受けることが困難な方
・特定銃砲指定施設に入所していた方で、継続して入所している方、または地域における障害福祉サービスの提供体制の譲許、その他やむを得ない事情によって通所によって介護などを受けることが困難な方の内上記に該当しない方、もしくは就労継続支援A型を利用している方
・平成24年4月の改正児童福祉法の施行の際に障害施設(指定医療機関も含む)に入所していた方であり、継続して入所している方
まとめ
障害者福祉サービス中でも、身体介護や家事のサポート、外出時の支援などを行うために給付される『介護給付』は、障害がある方にとって日常生活を送る上で必要不可欠な支援であったり、自立した生活を送るための支援になります。
障害のある方も自分らしい生活を送るためにも、介護給付を上手に利用していくことが大切です。
『引用:厚生労働省(障害福祉サービスの内容)
WAMNET(障害福祉サービスの一覧)より抜粋』