障害者グループホームに入居したい場合にはどうすればよい?自治体への申請は必要?

障害者グループホームは、障害を抱えている人が日常生活や社会生活を送る上で支援を受けながらでも自立した生活を送っていくために設置された福祉サービスです。

障害がある方にとって、自分で生活を送る一歩になる障害者グループホームですが、実際に入居を希望する場合にはどうすれば良いのでしょうか?

利用するにあたって必要な申請や方法を解説します。

1、サポートを受けつつ自立した生活を目指す『障害者グループホーム』

以前は障害がある人は、学校でも教室を分けられていたり支援を行いながらも、障害がない人との交流が少なかったり対等に見られていないことがありましたが、近年は障害に対する意識が少しずつ変化していきました。

学校でも通級指導教室や特別支援級が設置されることで、障害がある人も障害がない人にとってもお互いを理解し、相手を思いやる意識を持てるように配慮がされていたり、地域での交流を積極的に持てるようになってきたりと、『障害があるから』という見えない壁を取り払うことに進みつつあります。

 中でも障害者の自立は大きな課題であり、実際に18歳以上の方であっても障害がある場合には親と同居をしている人が大部分になります。

社会に出ていたり、完全に自分1人で日常生活を送っている人は少なく、親や家族のサポートが必要不可欠なのが現状です。

中でも特に知的障害の場合では、18歳以上で親と同居している人は約80%になっており、身体障害者の約60%に比べてかなり多くなっています。

このことから、障害を抱えている人にとって親元から自立した生活というのは大きな課題となっており、その環境を整えていくことが求められていることがわかります。

そういった課題を解決すべく、自立した生活を行える環境として『障害者グループホーム』が設けられました。『障害者グループホーム』では、少人数で生活を送りながらも必要な支援やサポートを行いながら、地域との交流を図り自立した生活を送ることを目的としています。

2、『障害者グループホーム』に入居するのには障害者手帳が必要になる

『障害者グループホーム』の利用を考えている方にとって、利用する方法や手順は気になりますよね。

福祉施設の多くは自治体を経由して入居したりしますが、障害者グループホームの場合は自治体を経由することはなく個別でそれぞれの施設へ入居の希望を提出しますので、自治体への申請は必要ありません。しかし、障害がどの程度あるのかというのを明記してもらうために、自治体へ障害者手帳を申請する必要があります。

障害者手帳には、「身体障害者手帳」「精神障害者福祉保健手帳」「療育手帳」がありますので、利用者の方の障害が何なのかを把握した上で、自治体へ手帳の申請を行いましょう。

「身体障害者手帳」

身体障害者福祉法の定義を元に、身体に何らかの疾病があるために、就学や就労だけでなく生活を送る中で困難な状態が永続的に続く場合に給付される手帳です。身体障害者と名付けられているので、手足などの欠損や不自由といった目に見える障害のみが対象になると思われがちですが、視力や聴力、血液の疾患というように目には直接見えずに一見障害があるようには見えない方も身体障害者手帳の区分に含まれます。

身体障害者手帳を交付されることで、就学や就労の際に支援を受けることが出来ます。

身体障害者手帳には1級から6級まであり、障害の程度によって受けられる支援内容が異なります。

また、7級になると2つ以上の障害の重複の場合に対象になります。

【対象の疾患】

 上肢や下肢、体幹といった肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、言語障害、咀嚼機能の障害、心臓や腎臓などの障害、ヒト免疫不全など

「精神障害者福祉保健手帳」

精神保健福祉法に基づき、精神疾患や発達障害が見られ長期的に日常生活や社会生活に影響を及ぼしてしまい制限が発生してしまうために、支援が必要になる場合には精神障害者福祉保健手帳が交付されます。

精神障碍者保健福祉手帳の対象となる疾患には発達障害が含まれますが、全ての発達障害の方がこの手帳を交付されるのではありません。発達障害の場合、初診から6カ月以上経過しておりかつ、知的障害と診断されていないことが前提です。

この条件に加えて精神障害者保健福祉手帳の基準に満たす場合であれば交付されます。

精神疾患により支援が必要としながらも自立した生活や社会復帰を目指すことを目的としています。

精神障害者福祉保健手帳には1級から3級まで等級が分けられており、都道府県知事や指定都市市長に申請を行い審査の結果通れば精神障碍者福祉保健手帳が給付されます。

2年おきに更新する必要がありますので、診断書をその都度提出しなければなりません。

【対象の疾患】

統合失調症、うつ病、てんかん、薬物やアルコール依存症や急性中毒、高次脳機能障害、自閉症や学習障害、注意欠陥多動性障害といった発達障害、躁うつ病といった気分障害など

「療育手帳」

療育手帳は主に子どもが対象になっていますが、知的障害がなければ交付されることはありません。

知的障害を抱えながらも、適切な支援やサポート、配慮を受けられることを目的としてスタートしましたが、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳のように基づく法律があるわけではありません。「療育手帳制度について」(昭和48年9月27日厚生省発児第156号厚生事務次官通知)というガイドラインは定められていますが、最終的に療育手帳を交付するかどうかの判断は地方自治体の裁量が大きくなっており、全国で統一はまだされていないのが現状です。

療育手帳には重度である『A』と中軽度の『B』というように等級が分けられています。

【対象となる疾患】

 知的障害

 

このように、障害者手帳といっても実際には3種類に分けられています。障害者グループホームを利用する前に、必ず自治体へ障害者手帳の申請を行い交付されることで必要な支援を受ける際に配慮があったり、経済的な負担も減らすことが出来ます。

『身体障害者手帳』と『精神障害者保健福祉手帳』の場合自治体へ申請するにあたって、主治医からの診断書が必要になります。自治体によっては診断書のフォーマットがある場合がありますので、必ず事前に自治体へ診断書はどういった形式でも良いのか、決まった形式があるのかということを確認しておくことが大切です。

その後、パスポート、住民基本台帳カードなど本人確認が行えるものと、本人写真、マイナンバーカードなどが必要になるので必ずどのような書類が必要なのか、用意しておくべきなのかを調べておきましょう。15歳以下で申請する場合には保護者が行うことになります。

『療育手帳』の場合には、知的障害の検査や面接を受けた上で交付されるかが決定します。どの障害者手帳に関しても、申請してから交付されるまで1カ月~2か月かかることがありますので、障害者グループホームを利用したいと感じた時に、障害者手帳を交付されていないのであれば早急に申請を行うようにしましょう。

3、『障害者グループホーム』を利用するにあたっての手順

障害者手帳を交付されたら、障害者グループホームへの利用をスタートする準備に取り掛かることが出来ます。では、障害者グループホームを利用するにあたっての手順とはどのようになっているのでしょうか?

①入居する障害者グループホームを探す

先ほど述べたように、障害者グループホームは自治体を経由しての申請はなく、自分で民間の障害者グループホームを見学したりして直接その施設へ入居希望を提出します。
 ケアマネージャーや市区町村の障害福祉窓口などに問い合わせを行い、障害者グループホームを利用したい旨を伝えましょう。そうすると、どのような施設があるのか、どういった所が特化しているのかなど詳しい情報を教えてくれます。また、自治体によっては障害者グループホームに空き部屋があるのか、満室の場合であれば隣接した障害者グループホームを紹介してくれることもありますので、まずは相談してみることが大切です。

②気になる施設は必ず見学を!

 ケアマネージャーや市区町村の障害保健福祉相談窓口などから、いくつか障害者グループホームの情報や連絡先を教えてもらうことが出来たら、気になる施設へ見学に行きましょう。
 障害者グループホームの多くは、各施設のホームページを持っている場合が多いので事前に確認しておくと、入居した時のイメージをつかみやすいですが、入居を検討するのであれば必ず見学にいきましょう。見学を行うことで、実際に障害者グループホームで生活をしている人の様子や施設の雰囲気、生活支援員がどのような人なのかを知ることが出来ますし、実際にそこで生活をしていくイメージをすることが出来ます。
パンフレットやホームページ上のイメージと異なる場合がありますので、気になった施設は必ず見学へ行くことが大切です。

③入居を希望する障害者グループホームで面談を行う

 障害者グループホームの見学を終えたら、面談を行い入居できるかどうかが決定します。面談では障害の程度や、日常生活で困難に感じていることや、サポートや支援はどうすべきかなどを詳しく質問されることがありますので、事前に話す内容をまとめておくとよいでしょう。サービス等利用計画を作成したり、利用契約などを行っていきます。

④障害者グループホームと直接契約を行い入居する

 施設と契約を行ったら、入居に必要な物を用意し準備が整えて入居します。
必要なものは施設によって様々ですが、提出すべき書類などは必ず記入漏れがないかをチェックしておきましょう。

 障害者グループホームへの利用手順は基本的には上記のようになります。しかし、施設によっては契約を行うまでに数回面接を行ったり、費用についての相談があったりと時間がかかる場合があります。障害者グループホームは自治体で審査を行うのではありませんので、あくまでも申請を行い審査をするのは施設になります。ですので、それぞれの施設で入居までの時間が異なったり、必要な書類、用意しなければならないものが違いますので漏れがないように注意しつつ確認していきましょう。

4、入居するのに期限は決められている?無期限でも可能?

障害者グループホームは、日常生活や社会生活を行う上でサポートを受けながら自立や復帰を目標としていますが、入居できる期間は定められているのでしょうか?
 実は基本的には障害者グループホームへの入居期限は無期限であることが多く、希望すれば長く利用することも可能な施設が多くあります。

しかし、中には入居期限を定めている施設もあり、そういった場合には数年経過したら退去しなければならない所もあります。

また、数年おきに更新料がかかる場合もありますので、事前に施設に確認しておくと数年間の費用なども目安をつけやすくなるので費用に関することや、入居できる期間については直接施設の相談員や担当者へ問うようにしましょう。

精神疾患の方を対象とした障害者グループホームの場合だと、自治体によっては滞在型のグループホームと通過型のグループホームと2種類わかれる場合があります。

滞在型のグループホームの場合は、利用期限に制限がないので永続的に利用することが可能になりますが、通過型のグループホームの場合であれば基本利用できるのは3年間になります。

このように事前に利用期限が決められている施設もありますので、後で知らなかった、ということがないようにチェックしておきましょう。

5、まとめ

障害者グループホームは、地域社会において障害がある人も支援やサポートを受けながら自立した社会生活を送ることを目指す福祉制度の1つです。

小さい時は親がサポートを行っていたとしても、いずれ大人になると親も高齢になっていき十分なサポートが行えなくなることもあり、自分自身で生活を行っていく力を養うことを目的としています。一人暮らしとなるとどうしても様々な不安がついてまわってしまいますが、障害者グループホームだとその人にとってどのような支援が必要なのかということが明確になっていますので、必要なサポートを行いながらも社会生活を送っていく一歩に繋がっていきます。

障害があるから自立出来ないのではなく、障害を抱えている人もサポートを行うと自立した生活を送ることが出来るように支援していくのが障害者グループホームの目的です。

障害者グループホームは、施設によって特色が様々になりますので、まずは自分にあった支援を受けることが出来る障害者グループホームを見つけ自立へ向けた一歩を踏み出してみましょう。

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