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保育園の基礎知識

【保育士必見】保育園で出来る応急処置とは?保育園で起こるケガについて大解説

保育士は子どもの体調の変化に日ごろから注意しなければなりませんが、それだけでなく、事故や怪我が起きないように気を配らなければなりません。

子どもはどうしても、大人のように注意力や危機管理能力が十分に発達していませんので、不注意から転んでしまったり、はさみ等の使い方が慣れていないためにケガをしてしまうことがあります。

 

保育士は子ども達がケガをしないように、細心の注意を払う必要がありますが、ケガをしてしまった場合にはケガに対して適切な応急処置を行わなければなりません。

 

では、保育士が覚えておくべき応急処置とはどのような方法があるのでしょうか?

今回は保育士が覚えておきたい応急処置の方法について解説します。

 

意外に多い保育中のケガ!応急処置や血液の取り扱いがポイントになる

保育園でどうしても避けては通ることが出来ないのが、突発的に生じてしまうケガや事故です。

保育士は子どもの活動を見守りながらサポートしていきますが、ケガや事故を完全に予防することは出来ません。

突発的に起きてしまうケガや事故を少しでも減らすように環境に工夫をしたり、安全で過ごせるように配慮することが大切ですが、ケガや事故が起きてしまった時には、保育士は速やかに応急処置を行わなければなりません。

 

特に大きなケガであれば、保育士の応急処置の対応が子どものケガの悪化や痛みを緩和させることが出来ますので、最低限の応急処置の方法を会得しておくことが大切です。

そして、応急処置を行った上で医療機関を受診すべきかを判断し、必要な場合は保護者へ病院を受診することを伝えて保育園から病院へ行くようにしましょう。

また、多くの保育園で意外と注視されていないのが血液の取り扱い方法です。

 

子どもがケガをした時に、保育士が対応しますので血液に直接触れる機会が多くなります。

感染症などであれば、飛沫や糞便に対して注意を払わなければならないという意識がありますが、血液の場合は直接触れていても問題ないという認識が残っています。

血液で最も意識しなければならないことが、他人の血液を媒介として感染症が広がってしまう恐れがあることです。

 

『血液による感染症は関係ないだろう』という認識が強いために、直接触ってしまうことがあります。

血液の取り扱い方法についても、保育士は園全体でマニュアルなどを作成し取り組んでいく必要があります。

保育士は、応急処置の方法だけでなく、血液の取り扱い方法についても知っていくと共に、保育園内で予防していくためにはどうすればよいかも今一度見直していきましょう。

 

保育士が覚えておきたい応急処置一覧

保育士は子ども達に危険がないように見守りながら保育を行いますが、全ての行動を制限し絶対にケガをしない保育を行うわけではありません。

もちろんケガがないことに越したことはありませんが、子どもは自分の意思で行動した時に危険を感じ、そこから学ぶことも多くあります。

子どもの成長の中に小さなケガや失敗は必要不可欠です。

 

そのため、保育士は保育の中で子どもが大きなケガをしないように見守りつつも、子どもが自発的に学んでいけるように支援していくことが求められます。

その過程でケガが発生してしまった場合には、保育士がすぐに対応し処置を行えることが大切です。

 

子ども同士でぶつかってしまった、工作を行っている時に誤ってハサミで指を切ってしまった、かけっこの時に転んでしまい膝を擦りむいた等、保育園内で起こりうる可能性があるケガについての応急処置を一覧にしてまとめましたので、是非参考にし保育園全体で確認していきましょう。

 

【擦り傷や切り傷、咬傷などの応急処置方法】

保育園で最も起こりやすいケガが擦り傷や切り傷です。

屋外での活動を行っていると、走っていて転んでしまったり、公園内の遊具や草花で体の一部を切ってしまうことがあります。

日常生活の中でも多く起こりうるケガの1つでありますが、擦り傷や切り傷を放置していると雑菌が繁殖し化膿してしまい悪化する恐れがあります。

 

そのため、擦り傷や切り傷であってもきちんと応急処置を行わなければなりません。

また、噛みつきによるケガである咬傷は内出血になりますが、きつく噛んでしまうと患部から出血をしてしまったり、ひどい腫れが起きる場合があります。

擦り傷や切り傷、咬傷の多くは医療機関の受診は必要ありませんが、傷がひどい場合や大きい場合、腫れが大きい場合などは速やかに医療機関を受診することが重要です。

 

また、犬や猫といった動物による咬傷の場合には、狂犬病等の病気に感染してしまう恐れがありますので、必ず医師に診てもらうようにしましょう。

擦り傷といったケガ以外で、目の刺傷も保育園内で起こる可能性があります。

 

目も非常にデリケートな部分で、刺傷により視力の低下や失明などの恐れがありますので速やかに眼科を受診しましょう。

その際は、必ず保護者へ連絡を行い経緯を説明した後医療機関を受診することを伝えてから、保険証のコピーと児童票を持って受診します。

 

◆擦り傷、咬傷、刺傷の応急処置一覧

傷病名

処置方法

医療機関を受診する目安

切り傷・擦り傷等 ①ケガの状態を確認して、傷口についた泥や土などの汚れを水でしっかりと洗います。
②出血がある場合には、ガーゼで直接傷口を10分程度圧迫して止血します。
ガーゼがない場合にはタオルやティッシュ等でも大丈夫です。
*出血が止まりにくい場合には、傷口がある場所を心臓より高い位置にして、安静にしましょう。
③止血が出来たら被膜材等で傷口を保護します。
・傷口が深い、大きい場合

・患部を心臓より高くしても出血が止まらない場合や出血が大量の場合には速やかに受診します

咬傷 ①傷口を確認し水でしっかりと洗う。
②患部から出血がある場合には、ガーゼで直接10分程度圧迫し止血する。
③出血が止まったり、出血がなく青くなっている場合には氷水で冷やし安静にする。
*患部を揉むと炎症がひどくなる場合があるので、絶対に揉まないことが大切です。
・噛んだ時に歯が刺さってしまったり、出血がひどい場合

・動物による咬傷の場合には、狂犬病などの病気の可能性がありますので、小さな傷であっても必ず受診しましょう。

目のケガ・刺傷 ①目のケガでも汚れがある場合には、水でしっかりと洗い流します。
②物が刺さっている場合には、自分で処理するのではなく早急に眼科を受診しましょう。
・目のケガは、ケガの大小の程度に関わらず眼科に行くようにしましょう。
特に物が刺さってしまっている場合には、無理にとらずに、ガーゼ等で目を保護しながら医師に見せるようにします。目の高さ以上に長い物が刺さっている場合には、紙コップ等で保護すると刺さった物に触れることがなく安心です。

 

【捻挫や骨折がの場合の応急処置方法】

足をくじいてしまったり、遊具から落ちてしまったりと、捻挫や落下による骨折も保育中に起きることが多いケガの1つです。

子どもは1つのことに集中してしまったり、危険かの判断を完璧にすることがまだまだ難しいので、意識が逸れてしまうと捻挫や骨折に繋がってしまいます。

切り傷や擦り傷などの外傷に比べて、捻挫や骨折の応急処置は正しい知識と、冷静に対処できるように日ごろから確認をしておくことが大切です。

 

特に骨折になると強い痛みがありますので、処置をするにも子どもがパニックになっていたり、泣いている中で処置をすることになります。

保育士は骨折した箇所の応急処置を行うだけでなく、ケガをした園児を安心させたり落ち着かせられるように配慮する必要があります。

 

子どもの気持ちに寄り添い配慮しながら、しっかりと固定を行い、医療機関へ受診するようにしましょう。

 

また、歯の骨折(歯折)の場合には歯牙保存液があると、歯の再植が可能になる場合がありますので1つ園内に準備しておくと良いでしょう。

 

では、捻挫や骨折などの応急処置方法を紹介します。

傷病名

処置方法

医療機関を受診する目安

骨折、捻挫等 ①患部が骨折している可能性があるかを確認します。
②腫れが強くなっていたり、赤くなっているのであれば、氷水や保冷剤で冷やしましょう。
③子どもが動かしにくそうにしたり、痛みが強い場合には幅木を当てて、三角巾で固定し医療機関を受診します。
・腫れが強い場合

・骨折の可能性がある場合には応急処置後すぐに医療機関を受診します。

頭部打撲 ①頭を打った時は、すぐに泣いたか、意識はあるか、眠くなっていないか、嘔吐、出血がないかを確認します。
②打撲した場所を確認し腫れがあるか等の症状を把握します。出血がある場合にはガーゼで圧迫して止血しましょう。
③打った時間、頭のどこを打ったのかをメモにとり、速やかに医療機関を受診しましょう。*①の中の症状が繰り返し行われたり意識が混濁している場合、出血が多くある場合には救急車を要請しましょう。*頭部の打撲の場合は必ず保護者へ連絡を入れ受診しましょう。
・意識混濁、意識喪失、けいれん、顔が青白くなっている、繰り返される嘔吐、陥没骨折、大量の出血がみられる場合は、救急車を要請します。

・頭部打撲は必ず医師の診察を受ける必要がありますので、ケガの大小に関わらず医療機関に必ず受診しましょう。

頭部以外の打撲 ①打撲した場所を確認します。
②氷水や保冷剤で10分以上患部を冷やします。
③患部の状態を確認し、医療機関へ受診する必要がある場合は保護者へ連絡し受診します。
・痛みが強く泣き続けたり、腫れがひどい、皮膚の変色が強く出ている場合には医療機関を受診します。
打撲箇所が陥没している場合には骨折の可能性があるので受診しましょう。
歯折 ①折れた歯を洗わずに歯牙保存液に入れ保存します。
②歯折の場合は2時間が再植のタイムリミットになりますので速やかに受診しましょう。
・歯折の場合は応急処置後、速やかに受診します。

頭部打撲の場合には、応急処置というよりも患部の状況を確認した後必ず受診しましょう。

特に後頭部の場合には、命の危険もありますので救急車の要請も視野にいれておくことが大切です。

打撲も骨折も保育士のみの判断は危険ですので、基本的には小さな打撲以外であれば医療機関へ受診するのが良いでしょう。

 

【その他の保育園で起こりうるケガの応急処置方法】

捻挫や骨折、切り傷等の外傷以外でも、保育園では様々なケガや事故が起こる可能性があります。

そういった場合にも、すぐに対処できるように保育士は日ごろからマニュアルを確認しておいたり、実践訓練をしておくことが大切です。

 

特に、誤飲の場合には命に関わりますので胸骨圧迫や腹部圧迫の方法を覚えておきましょう。

広範囲のやけどや誤飲で意識障害が起きている場合には、すぐに救急車を要請することも重要です。

 

その際には発生した場所、時間、経緯をしっかりと確認し、メモにとっておき救急隊員に伝えるようにしましょう。

鼻出血 ①子どもを前かがみにして椅子に座らせます。
②鼻の付け根(キーベルバッハ部位)を10分間圧迫し止血します。
③鼻から口へ降りてきた血は吐き出させます。
④10分以上圧迫しても止血出来ない場合には、さらに10分圧迫して止血を行います。
⑤出血が治まってきたら綿花やティッシュを小さくちぎり、鼻へ優しく入れます。
⑥鼻や口の周りを拭き、鼻を保冷剤や氷水で冷やしましょう。*30分以上圧迫して止血出来なければ医療機関を受診します。
*鼻出血は以前は仰向けにして寝かせたり、頭を上にしましたが、血液が胃にいってしまいますので現在はしてはいけません。
・30分以上出血が止まらない場合

・何もしていないのに1日に何度も出血がある場合

やけど ①やけどの患部を10分以上流水で冷やします。
②服の上からやけどした場合には、痛みがないようにゆっくりと衣服を脱がします。
癒着している場合には患部についている布を残して他の部分を切りましょう。
③やけどがある場所を清潔な布やガーゼ、またはラップなどで覆い、医療機関へ向かいましょう。*やけどの患部が広範囲であったり、ショック症状が見られる場合、顔や喉の熱傷が見られる場合には救急車を要請しましょう。
・やけどの場合には、大小に関わらず医療機関へ受診しましょう。

・広範囲のやけどやショック症状がある場合には救急車の要請を行いましょう。

口の周り・口内のケガ ①ケガを確認して、水洗いをしっかりと行う。
②歯がぐらついていないか、切れている箇所はどこかを確認し、出血がある場合にはガーゼ等で圧迫して止血を行います。
③10分程度氷水や保冷剤で冷やしましょう。
・口唇は腫れがひどく表れやすいですが、腫れが大きく変色が見られる場合には受診しましょう。
・出血が30分たっても止まらない場合はガーゼで抑えながら受診しましょう。
誤飲 ①何の異物を飲んだかを確認し、自分の咳で吐き出せそうであれば促します。
②自分で吐き出すことが難しい場合には、子どもを前かがみにしてかかえ、5回肩甲骨の間を強く叩きます。
③口の中や喉を調べて異物が見えていたら取り除きますが、見えない場合にはすぐに救急車を要請しましょう。
④肩甲骨の間を叩いても閉塞物が出てこない場合には、胸骨の下部に握りこぶしをあててもう一方の手でにぎりこぶしを掴み3秒間隔で胸腔内を強く圧迫します。
回数は最大5回までにしましょう。
⑤胸骨圧迫で閉塞物が取り除けない場合には、肋骨弓下の中央に握りこぶしを置き、もう一方の手で握りこぶしをつつみ5回上へ圧迫します。
⑥①~⑤を繰り返し救急車を待ちます。*飲み込んだもの、時間、場所を確認しメモを取っておきましょう。
・肩甲骨の間を強く叩いても閉塞物が出てこない場合にはすぐに救急車を呼びます。
・異物を飲んだ時に意識がなくなっていたり、顔面蒼白であればすぐに救急車を要請しましょう。
・飲み込んだ物が薬の場合も同様に救急車を要請します。

創傷処置は現在と昔では異なる?どちらが正しいの?

走っていて転んでしまった、友達とぶつかってしまい倒れてしまった。

このように、保育園内で起きたケガの大部分が切り傷や擦り傷になりますので、保育士でも十分に処置の対応が出来ます。

以前は擦り傷や切り傷が出来た時の応急処置は、傷口をしっかりと洗浄した後に消毒薬で消毒し、ガーゼや絆創膏で傷口をカバーし適度に交換しながら回復を待ちました。

 

また、傷口が治ってきてかさぶたになったら、空気に触れさせて乾燥させた方が良い、という風に言われていたこともあります。

しかし、以前の創傷処置と現在の創傷処置では根本的に異なっています。

 

現在の創傷処置の流れとしては、以下の方法が一般的になります。

①傷口の石や汚れを取るために、綺麗に水で洗浄する

②傷口を保護するために被覆材でカバーする

 

被覆材とは創傷被覆材やドレッシング材ともいわれますが、傷口の患部を乾燥させずにケガを治していくためのもので、現在は薬局でも簡単に手に入れることが出来ます。

従来のガーゼによる治療方法は、患部を乾燥させていくものでしたが、被膜材を用いた治療方法は湿潤療法と言われるように、幹部を乾燥させずに治していきます。

 

出血するケガをした後に、傷口から透明の浸出液と言われる細胞の再生を促したり、傷口の治癒を行う液体は以前はふき取ることが治癒への近道だと言われていましたが、現在は浸出液で傷口を保護しておくことで、傷の再生を高めることがわかってきました。

 

そのため、被膜材で傷口を覆う方法が最も効果的に治療を早めることが出来ます。

消毒薬は傷口にある必要な菌も殺してしまうので、かえって回復効果を損なってしまいますので、現在は使用せず患部を水洗いする方が良いと言われています。

 

また、被膜材を利用した湿潤療法には多くのメリットがあることも分かっています。

 

◆被膜材を使用した湿潤療法のメリットとは?

湿潤療法のメリットとしては以下になります。

①傷口を早く治すことが出来る

②痕になるリスクが低く、綺麗に治る可能性が高い

③傷口から新しい感染症のリスクを軽減することが出来る

④刺激や痛みが少なく入浴なども可能

⑤何度も消毒やガーゼ、絆創膏の交換をする必要がない

 

このように、湿潤療法には多くのメリットがあり、特に痛みが少なく何度も交換する必要がないことは子どもにとっては大きなポイントになります。

どうしても、痛みが伴うとなると、子どもは傷口の処置に対して抵抗を持ってしまいます。

 

しかし、被膜材による湿潤療法であれば、最初の1度は水で患部を洗わなければなりませんが、それ以降は消毒など痛みを伴うことを行う必要はありません。

多くのメリットがあるからこそ、現在は湿潤療法による治療がメインになっています。

 

しかし、まだまだ湿潤療法に対しての理解が伴っていないこともあり、保護者の中にはこの治療方法に対して抵抗がある方も多くいます。

『子どものためにきちんと消毒をして欲しい』と思う方もいるでしょう。

 

保育園で湿潤療法をメインに行う場合には、まず新学期などの園だよりやおたよりの中で、湿潤療法のメリットや方法の触れ理解を得るようにしましょう。

保護者の中には、湿潤療法ではなく消毒液による処置を望む方もいるので、決して無理強いはしないことも重要です。

 

保護者の理解を得て子どもたちのケガの処置を行うためにも、保育園全体で治療法や伝え方を見つめなおしていくと共に、園医や看護師とも連携を図っていくことが大切です。

応急処置での要注意!保育園全体で血液による感染症の予防をすることが重要

ここまで、保育士による応急処置の方法について紹介してきましたが、子どもだけでなくケガをして多くみられるのが「出血」です。

出血はケガをした時に血管を損傷してしまうことで、血管内にある血液が出てしまうために起こります。

 

紙で切ったような小さなケガであっても、出血は日常的に見られますが、この血液の取り扱いについて保育園内でしっかりと注意しなければなりません。

どうしても日常的に血液を見る機会があると、当たり前になってしまい、血液の危険性や注意することを忘れてしまいます。

血液やケガをした時に出てくる浸出液には、病原体が潜んでいることがあり、血液や浸出液に傷がある指先などで触れてしまうと、その病気に感染してしまう可能性があります。

 

もちろん、可能性としてはとても低くなりますが、実際に平成14年には保育園でB型肝炎の集団感染が報告されており、「子どもだから」「保育士だから」大丈夫ということではありません。

 

いつ自分が感染してしまうか、また感染している事に気が付かずに子どもに移してしまう可能性があるということを覚えておきましょう。

血液には赤血球と白血球、血小板が含まれており、赤く見えるのは血液内の赤血球の働きによるものです。

赤血球は酸素を体中に運ぶ働きがあり、白血球にはウィルスや雑菌を退治する働きがあり、血小板には出血をした時に出血箇所を見つけ止血する働きがあります。

 

それぞれの働きがきちんと行われることで、体調の維持をすることが出来ます。

しかし、中には血液内に病気の原因物質が隠れており、その血液に触れてしまうことで感染をしてしまう病気があります。

それが『HIV(ヒト免疫不全ウイルス)』と『B型肝炎』です。

 

これらの病気は血液中に病原体が含まれており、目や粘膜から体の中に侵入し感染してしまいます。

見た目では血液に変化がありませんので、気が付くことが出来ません。

 

このように血液がキャリアとなって、人から人へ感染してしまう病気のことを『血液媒介感染症』といいます。

子どもは血液媒介感染症とは無縁のようなイメージがありますが、いかなる場合であっても可能性はゼロではありませんので細心の注意を払いつつ保育士は応急処置等を行うことが大切です。

 

では、保育園内で血液媒介感染症に対してどのように予防すれば良いのでしょうか?

まず、血液媒介感染症のリスクを下げるためには、血液に触れないようにすることです。

 

そのため、出血が見られる応急処置の場合にはビニール手袋を使用することが最大の予防になります。

また、血液が触れる事があるガーゼなども使い捨てにして、決して使い回しをしないようにしましょう。

また、子どもの服に血液がついた場合や、床などの周りに血液が付いている場合には、他の園児が触れないように、応急処置を行っている保育士以外の保育士が注意を払いつつ、離れて保育を行うことも大切です。

 

血液と同様に、黄色や透明の浸出液も血液媒介感染症の病原体を含んでいる場合がありますので、取り扱いには注意が必要です。

しかし、使い捨てのビニール手袋を使用しての応急処置は、保護者に対して『子どもが汚いからビニール手袋を使用しているのか』という誤解を招いてしまうケースがあります。

そういった誤解を招かないためにも、新年度の説明会やおたよりでビニール手袋を使用しての応急処置を行うことの必要性についてしっかりと説明し理解を得ておくことが大切です。

 

血液の取り扱いについて細心の注意を払うことは、子どもから子どもへの感染だけでなく、保育士から子どもへの感染なども防ぐためには必要不可欠になります。

そして、どの保育士もきちんと取り扱いに対して徹底出来るように、保育園全体で取り組んでいくようにしましょう。

まとめ

毎日のように何かしらのケガが起きてしまう保育園。

大きなケガにならないように、日ごろから保育環境や保育士の意識を高めていくことが大切ですが、ケガをしてしまった時には応急処置を速やかに行えるように園全体で取り組んでいくことが重要です。

 

特に課外授業や遠足の場合だと、臨機応変に対応できなければなりませんので、出発前には必ず応急処置の対応について確認しておきましょう。

また、遠足などの際には応急処置についてまとめマニュアル化したものを1つ持っていくと緊急時に冷静に対処を行うことが出来ます。

保育園や幼稚園では、ケガの処置は何度も行われます。

 

しかし、常に幅広い視野を持ち、意識を高めていくことで、子ども達を様々なリスクから守ることに繋がります。

保護者から預かった大切な子ども達だからこそ、安心、安全で活動に取り組めるように保育士がしっかりと取り組んでいくことが大切です。


この記事を書いた人

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