精神疾患の一種でもある「統合失調症」。病名は世間一般に認知されはじめていますが、「どんな病気なのか」などの詳細についてはあまり認知されていないのが現状です。精神疾患を持っている方は社会復帰が難しいと思われがちですが、自身の体調と正しく向き合って周囲の理解を得ることで一般の方と同じように働くことができるんです。
この記事では「統合失調症」の方でも働ける仕事内容や、仕事探しのポイントについて解説します。
目次
「統合失調症」とはどんな病気?
「統合失調症」とは、何らかの原因によって脳の「統合機能」が低下し、思考や行動、感情をまとめることが難しくなる病気です。「統合失調症」の症状には実在しないはずのものが見える「幻覚」や、誰もいないのに声が聞こえてくる「幻聴」などがあります。誰かに監視されている、悪口を言われているなどのネガティブな思考になってしまい、コミュニケーションを取ることが億劫になってしまうのです。
また、判断力や記憶力、集中力が低下してしまうのも統合失調症の症状の一つです。新しいことを覚えるのが難しくなったり、仕事に集中できなくなったり、優先順位をつけて計画を立てることができなくなったりします。
「統合失調症」の方の仕事選び
「統合失調症」の方でも仕事をすることは可能です。仕事を探して実際に働くときには、自分の体調を適切に管理することや周囲の人に症状を周知することが大切です。
決して無理をしないこと
「統合失調症」は再発しやすい病気であり、たとえ回復期であっても疲れやすかったり記憶力や判断力の低下が残ってしまったりする場合もあります。さらに悪化すると、幻聴や幻覚の症状が発生してしまい周囲の方に迷惑をかけてしまうことも。
自分の体調と相談しながら、疲れやすさが残っている場合は短時間パートから始めたり、勤務時間の調整が可能な仕事を探すとよいでしょう。
面接時には自分の症状を伝えよう
「統合失調症」は徐々に認知度が高まっている病気ですが、人によって症状が異なったり症状をよく知らないという方がいたりします。面接時には自分の症状を企業側に伝え、定期的に通院していることや突然休んでしまう可能性があることもきちんと話しましょう。「話したくない」という方もいるかと思いますが、周囲からの理解を得ることは働く上での第一歩なのです。
「統合失調症」の方に向いている仕事とは
「統合失調症」の方は、幻覚や幻聴の症状から人とのコミュニケーションに不安を感じる方が多いです。そのため、接客業など多くの人を相手にする仕事を選んでしまうとストレスが生まれやすく、症状が悪化してしまう原因にもつながります。まずは人とのコミュニケーションをあまり必要としない仕事から始めてみるのがおすすめです。
向いている仕事①:商品管理
商品管理とは、倉庫や流通センターで商品の検品やピッキングを行う仕事です。商品に不具合はないかを確認したり、リストに記載されている商品をまとめて梱包したりする作業のことを指します。商品の名前などは覚えなければいけませんが、複雑な工程や専門用語などはありませんので比較的簡単な仕事内容だといえます。
向いている仕事②:軽作業
軽作業には除草作業や植え込みの剪定、ビル清掃など多岐にわたります。一人で行うものもありますが、少人数でチームを組んで行うことが多いです。チーム内でのコミュニケーションは必要ですが、「統合失調症」の症状をきちんと伝えていれば心配することはありません。周囲の方と協力して作業を終える達成感は、仕事をする充実感にもつながるでしょう。
向いている仕事③:製造業
製造業とは、工場で部品を組み立てたりライン作業で商品を作ったりする仕事です。決められたポジションで黙々と作業することが多いため、コミュニケーションが苦手な方にも向いている仕事だと言えます。部品の組み立て方や作り方を一通り覚えれば作業ができるので、物覚えに自信がなくても大丈夫です。
就労移行支援を利用するメリット
社会復帰したいけれど一人では不安な方、すでに就職活動を始めているけれど決まらないという方は、就労移行支援を利用することをおすすめします。就労移行支援とは、全国各地にある「就労移行支援事業所」に利用申請をすると受けられるさまざまな支援のことです。就労移行支援を利用するメリットには、以下の3つがあります。
①企業側に症状の共有をしてもらえる
就労移行支援は利用者とともに就職活動を行います。提携企業へのインターンや職場体験を通して、より自分に合った業務内容を知ることができますし、事業所から企業に対して症状を共有することもできます。
②困った時の対処法をサポートしてくれる
就労移行支援事業所では、さまざまな障害を抱える方の就労サポートを行っています。「統合失調症」の方に対するサポート経験も豊富ですので、体調の変化や仕事を進める上での悩みも一緒に解決してくれます。
③仲間と支え合いながら活動できる
一人で就職活動をするのは、誰にも相談できず不安が募るばかり。就労移行支援事業所には、就職を希望する多くの利用者が在籍しています。仲間同士で情報を共有して、就職活動での悩みを打ち明けて励ましあえる仲間の存在は、きっと大きなものになるでしょう。
まとめ
「統合失調症」とは何らかの理由で脳の統合機能が低下し、思考や行動をまとめるのが難しくなる病気です。「統合失調症」の方でも働くことはできますが、再発しやすい病気であることから無理をしすぎると症状が悪化してしまう恐れがあります。体調と相談しながら自分に合った仕事を探すためには手厚いサポートが受けられる就労移行支援事業所を利用してみてはいかがでしょうか。
【所属】
株式会社ドットライン 代表取締役兼ドットライングループCEO
一般社団法人 全国介護事業者連盟 千葉県支部 支部長/関東支部 副支部長
一般社団法人 サービス管理責任者協会 理事
社会福祉法人 和心会 理事
【資格】
社会福祉士、介護福祉士、、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者、宅地建物取引主任者
【略歴】
千葉市立稲毛高校、日本社会事業大学 社会福祉学部卒。慶應義塾大学法学部(通信課程)学士入学。
パソナグループ 株式会社ベネフィットワン(東証一部上場)にて、法人営業部として勤務後、ボートレーサー(競艇選手)試験に合格し、ボートレーサー養成所(108期養成員)入所。
退所後、起業。日本初のボートレーサー試験予備校を設立し、合格者8割以上のシェア達成。マーケティング事業等を経て、2011年 株式会社ドットライン創業。2014年より医療・介護・福祉・保育事業開始。
【メディア実績】
日本経済新聞、日経BizGate、千葉テレビ、産経新聞、東京新聞、高齢者住宅新聞など多数