視覚障害の方にとって強い味方になる『同行援護』支援する人は資格が必要かも調査!

私たちは買い物や学校、通勤や通院といった屋外へ行くことに対して大きな抵抗はありません。

それは、視覚から情報を適切に受け取り処理し、危険を回避したり目的地までの道筋を理解することが出来るために不安感はなく外出することが出来るからです。

しかし、視覚障害の方は情報を受けとることが困難になりますので、誰かのサポートがなければ外出を行うことも危険を伴ったり不安になってしまいます。

このように、外出の際に不安や不便、困難な場合には『同行援護』を利用することがおすすめです。

視覚障害の方にとって外出の際に大きな力になる『同行援護』。

今回は『同行援護』のサービス内容から、対象者、『行動援護』や『移動支援』の違いまで詳しく紹介します。

外出時の困難に対して支援を行う『同行援護』

障害といっても様々な種類があり、その障害に対して必要な支援を行うことが求められますが、『同行援護』も障害がある方に対する支援の1つになります。

視覚障害を抱えている方の場合、移動や外出を行うことがとても大きな困難を伴うことがあります。

 

それは、目でとらえることが困難なため、危険な場所に気が付くことが出来なかったり、情報を正しく得ることや伝えることが難しくなってしまい、外出することそのものが危険になってしまうからです。

ですので、外出時や移動を行う時に障害と利用者について深く理解している方が同行し援助を行う必要があります。

 

これが『同行援護』です。

『同行援護』は単に外出時や移動時に付き添うだけではなく、同行を行う時に排泄や食事といったサポートが必要な支援も行い、より外出に対しての不便や不安を解消する役割もあります。

散歩や病院の付き添い、買い物などの日常生活の中でも少しの時間の支援であっても『同行援護』を利用することは可能です。

 

また、利用者が行きたい場所へ同行することや、同行中の身体介護を行う以外にも、代筆や代読も大きな支援の1つになります。

視覚障害の方は、目で文字を捉えることが出来ませんので、必要な情報を正確に伝えたり、コミュニケーションの橋渡しになれる支援を行うことで、地域生活を営む上や社会参加を行うために必要不可欠な障害福祉サービスになります。

『同行援護』の対象者とは?障害者支援区分認定は必要?

障害福祉サービスの1つである『同行援護』ですが、対象となる方の条件には何があるのでしょうか?

『同行援護』は身体介護が必要かどうかで、対象となる方が変わってきますので注意が必要です。

『同行援護』の利用の対象になるのは以下の方になります。

 

対象者

◆身体介護を伴わない場合

・視覚障害により移動に著しい困難を示す方で、同行援護アセスメント調査票において、移動障害の欄に係る点数が1点以上で、かつ移動障害以外の「視力障害」「視野障害」「夜盲」に係る点数のいずれかが1点以上である方

 

◆身体介護が必要な場合

身体介護が必要な場合であれば、以下の2点のいずれにも該当しなければなりません。

①障害支援区分が区分2以上であること

②障害支援区分の認定調査項目のうち、次に掲げる状態のいずれか1つ以上に認定されている。

 

歩行:全面的な介護が必要

移乗:見守り等の支援が必要、部分的な支援が必要、または全面的な支援が必要

移動;見守り等の支援が必要、部分的な支援が必要、または全面的な支援が必要

排尿;部分的な支援が必要、または全面的な支援が必要

排便:部分的な支援が必要、または全面的な支援が必要

 

同行援護は身体介護を伴うか伴わないかで、利用の対象者が変わってきます。

身体介護を伴わない場合には、障害支援区分認定は必要ありませんが、身体介護を伴う場合には、障害支援区分認定が必要になりますので、前もって障害支援区分認定の申請を行っておくことが大切です。

 

*【同行援護アセスメント調査票】…同行援護のサービスを利用するための読字の評価票。

この評価にそって、どのような支援が必要か、同行援護を活用するのが良いかを判断します。

 

 

『同行援護』『行動援護』『移動支援』に違いはある?

 

 

 

障害福祉サービスで視覚障害者が外出時に利用することが出来る『同行援護』ですが、『同行援護』以外にも『行動援護』と『移動援護』があります。

どちらも、外出などに関する支援になりますが、一体どのような違いがあるのでしょうか?

 

まず、『同行援護』は先ほど紹介したように、視覚障害の方が外出を行う時に、代筆や代読を行ったり、身体介護や情報を正しく伝えるなど外出に対して必要な支援を総合的に行います

ですが、『同行援護』の場合、対象になる障害が視覚障害の方のみになります。

それに対して『行動援護』の場合は、対象になるのが重度の知的障害や精神障害の方になります。

『行動援護』は行動を行う上で著しい困難がある方が、外出や移動を行う時に、本人の危険を回避するために援助や移動のサポートを行います。

移動のサポートや外出時における排泄や食事などの支援も行いつつ、外出時に行動障害などを起こしてしまった時の対応も行います。

 

『同行支援』と『行動援護』のように、障害のある方が外出や移動を行う時に必要な支援を行うことを総じて『移動支援』と言います。

つまり『移動支援』という支援事業の中で、対象となる障害を限定しさらに詳しい支援方法を確立したものを『同行援護』と『行動援護』と分けています。

私たちからすると、一見あまり何も危険がないように見える屋外でも、障害がある方にとっては、看板の情報を正しく読みとれなかったり、臨機応変に対応しなければならないために、どうしても外出に対して抵抗があったり外出を控えてしまいがちです。

 

しかし、地域生活や地域社会の中で自分らしい生活を送るためには外へ出て自分の思う場所や望む所へ行くことで、充実した人生を送ることが出来るようになります。

また、冠婚葬祭やレクリエーション活動、余暇活動などを行うためにもどうしても外出を行わなければならない時があります。

障害がある方が自分の希望通りに外出を行うためにも、『同行援護』と『行動援護』を含めた『移動支援』はなくてはならない障害福祉サービスになります。

 

同行援護の従事者が必要となる資格一覧

 

 

『同行援護』の際に外出のサポートを行う方のことをガイドヘルパーと言います。

ガイドヘルパーは、障害の特性や知識を十分に理解した上で、必要な支援や対応を行うことが出来ますので、外出を行う際の強い味方になります。

しかし、誰でもガイドヘルパーを行うことが出来るのではなく、ガイドヘルパーを行うには必要な資格や研修を修了していなければなりません。

ガイドヘルパーの研修には一般課程と応用課程の2種類があり、それぞれの研修を修了することで支援出来る内容が異なります。

『同行援護』でガイドヘルパーを行う方は以下の方になります。

 

【同行援護従業者(ガイドヘルパー)】

同行援護従業者(ガイドヘルパー)は、障害がある方の外出時に援助を行うことを目的とした障害者自立支援法にもとづく資格です。

障害の特性と、その人の困難な面を把握した上で、最適な支援を行ったり必要な情報を正しく伝えるなど外出に係る総合的な支援を行います。

同行援護従業者の資格を取得するには、次のいずれかに該当しなければなりません。

 

①同行援護従業者養成研修一般課程を修了した者

 (盲ろう者向け通訳、介助員については2021年3月31日までの間は同研修を修了したものとみなす)

②居宅介護職員初任者研修過程修了者などであって、視覚障害者等の福祉に関する事業に1年以上従事した経験を有する方

③国立リハビリテーションセンター学院の視覚障害者学科の教科を修了した方

 

【サービス提供責任者】

サービス提供責任者は介護サービス提供におけて、ケアマネージャーやヘルパーとの連絡や調整を行う責任ある職種になります。

ケアマネージャーが作成した支援計画をベースにして、どのような支援を行うか、どのように介護サービスを提供していくかをヘルパーに指示や指導を行います。

サービス提供責任者の資格を取得するには、次の条件の①と②の条件を満たすか、③を満たさなければなりません。

 

①同行援護従業者養成研修の一般課程と応用課程を修了した者

②介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修修了者、もしくは居宅介護従業者1級課程修了者、居宅介護職員初任者研修過程修了者などで、3年以上介護の業務に従事した方

③国立リハビリテーションセンター学院の視覚障害学科の教科を修了した方等

 

このように、『同行援護』の支援を行う方は、必要な研修を修了する必要があります。

視覚から情報を得ることが困難な資格外出は多くの危険が生じる場所です。

看板などで危険を表示していても、視覚障害の方にとっては情報を得ることが難しくなりますので、外出を行うことをためらってしまったり、外出自体を行わなくなってしまう時があります。

そういった不安や悩みを解消するためにも、ガイドヘルパーは非常に大切や役割があります。

障害がある方がガイドヘルパーと一緒に外出することで、困難な場面や不安な思いを解消し、自分の生活に楽しさや充実感をもたらしてくれるでしょう。

まとめ

 

視覚障害がある方にとって必要となる『同行援護』。

私たちが何気なく外出を行っている中には、目から得た情報が多く存在し、無意識の内に危険なことなどを把握し判断を行っています。

しかし、目から情報を得ることが難しい視覚障害の方にとって、外出ということは大きなハードルがいくつもあり、そのハードルを解消しないと危険が生じてしまったり、不便な思いをしてしまいます。

視覚から得ることが難しい情報について正しく伝えたり、外出時の身体面の支援などを行いより良い外出を行えるように、『同行援護』を利用することで、視覚障害があっても新しい場所へ出かけようという意欲を持って過ごすことが出来たり、行きたい場所へ困難なく行くことが出来るようになります。

充実した自分らしい生活は、家の中だけでは構築出来ません。

好きな場所へ出かけたり、不便なく移動できることで精神的にも満たされることが出来ます。

視覚障害を抱えている方にとって『同行援護』は、自分らしい人生を生きるために必要な障害福祉サービスと言えるでしょう。

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