猛暑が続く季節になり、こまめに水分を補給するように気をつけている人も多いでしょう。
しかし、体内に水分を補給するというだけでは熱中症対策として不十分です。特に高齢者は暑さを感じにくいため、熱中症になりやすいと言われています。総務省消防庁の報告データによると、熱中症で救急搬送された人の中で最も多いのは65歳以上の高齢者であるというデータが発表されています。
家政婦(夫)として働くなかで、熱中症の危険から依頼主を守るためにどんなことができるのか考えてみましょう。
熱中症の症状
熱中症とは「体温が上昇し、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温の調節ができなくなって、めまい、けいれん、頭痛などの症状を起こす病気」のことです。一括りに「熱中症」と呼ばれていますが様々な症状があるため、早めに見極めることが大切です。
①その場で処置できる症状 (Ⅰ度)…立ちくらみ、筋肉の硬直、大量の発汗
②病院に搬送が必要な症状 (Ⅱ度)…頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感
③医療機関で集中的な治療が必要な症状(Ⅲ度)…意識障害、けいれん、運動障害、日射病のような高体温
上記に当てはまらないという場合でも、必要があれば救急車を呼び臨機応変に対応しましょう。最初は軽度でも、後に重症化してしまうケースもあります。特に「意識がはっきりとしない」や「意識がない」場合は必ず早急に救急車を呼んでください。
救急車を待っている間は熱中症の患者を涼しい場所に移動させてから、身体を冷やすようにしましょう。意識があれば、「電解質を適量含んでいる冷えた状態のスポーツドリンク」を飲んでもらうようにします。
もし可能であれば、依頼主の家に緊急時に備えて「氷のう」や「スポーツドリンク」を置いておくと良いでしょう。できるだけ早い段階で症状に気づき、処置を行うために必要です。
熱中症対策
熱中症の対策としてできることをお伝えします。すぐに行えるような簡単なことばかりなので、日頃から意識してみましょう。
①室内を涼しくする
暑さに気付かずクーラーを付けようとしない高齢者の方が多くいます。ですが最近では昔よりも猛暑日が長く続くことも多いため、躊躇わずにクーラーを使うようにしましょう。温度は28度以下、湿度は70%以下に保つのが理想です。扇風機では湿度を下げることができないため注意しましょう。
②こまめな水分補給、適度な塩分の摂取をする
日本スポーツ協会では「0.1~0.2%の食塩と糖質を含んでいる」飲料が推奨されています。喉が渇いたという感覚が無くても、こまめに水分を補給するように促しましょう。糖分とナトリウムが入っている飲料は、腸管で水分を吸収するスピードが上がるため効率的です。
③日中の外出を控える
長時間屋外で活動しないように注意しましょう。散歩など日中の外出を日課にしている場合は、涼しい時間帯の外出を提案してみましょう。比較的涼しい朝方や夕方にするのはいかがでしょうか。
④日傘や帽子、ハンディ扇風機などのアイテム使う
依頼主が日中にどうしても外出しなければいけない用事があるという時には、日傘や帽子を被ることを勧めましょう。直射日光を避けることで熱中症のリスクを減らします。
また最近では、外出していても体温を下げることのできるアイテムが数多く販売されています。ハンディ扇風機や、冷却スカーフ、ネッククーラーなどのアイテムを上手に使っていきましょう。
⑤普段から体調に気を付ける
もちろん身体を冷やしたり室内の温度を下げたりすることも大切ですが、日頃から体調をきちんと整えておくことも大切です。夏は食欲が落ちやすい時期ですが「3食きちんと食べる」、「睡眠をしっかりとる」など、依頼主の日頃の体調を管理することも熱中症対策として重要です。
熱中症に効果的な栄養と食材
熱中症に効果的な食材として「カリウム」「ビタミン類」「クエン酸」があります。
カリウムは細胞の浸透圧を調整し、ビタミンやクエン酸は疲労回復に欠かせません。カリウムは海藻やほうれん草、バナナ、芋類、肉、魚などに多く含まれています。ビタミンは豚肉、大豆、モロヘイヤ、玄米など幅広い食材から、クエン酸はレモンや梅干しから摂取できます。身近な食材ばかりなのでレシピも考えやすいのではないでしょうか。
食事の中でこれらの食材を意識して取り入れることにより、夏の暑さに負けない身体作りを、サポートすることができます。
まとめ
高齢者は暑さを感じにくいため、依頼主の部屋を快適な環境にしたり水分の補給を促したりと、私達が率先して熱中症対策をしていきましょう。
もし熱中症の症状が見られたら、その症状から重症度を判断して適切な処置をしましょう。医療機関に頼る必要があれば躊躇わずに救急車を呼ぶようにしてください。
食事や睡眠など、日頃の体調管理も熱中症対策として行うようにしましょう。
環境省と気象庁が暑さ指数に基づいて発表している「熱中症アラート」を確認したり、ニュースを見てその日の気温と湿度をこまめにチェックしたりするなど、情報を入手することも大切です。
依頼主が夏も健康かつ快適に過ごせるように、しっかりと家政婦(夫)としてサポートしていきましょう。