利用者の高齢化に伴い、寝たきりの方や片麻痺の方、車椅子を利用している方のお宅で勤務することがあるかもしれません。一人で体を動かすのが難しいという状況が多く、リハビリも兼ねて依頼者が「訪問看護の予定を入れている」というケースがあります。
訪問看護について馴染みが無いと、事前に確認しておくべきことや訪問中の対応の仕方がわからずに慌ててしまうかもしれません。
今回は「家政婦(夫)として勤務中に訪問看護の予定が入っている場合は、どのように上手に立ち回れば良いのか」をわかりやすく具体的にお伝えします。
訪問看護とは何か
訪問看護とは「看護師などが利用者の居宅に訪問して、主治医から送られる指示書の内容に従って行う看護のこと」です。最期まで利用者が居宅で過ごせるようにサポートをします。
最近では、訪問看護とリハビリステーションが一体化されている事業所も多く、1つの事業所で看護とリハビリの両方を受けている方もいらっしゃいます。
訪問リハビリでは「利用者の居宅に理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が訪問し自立した日常生活が送れる」ようにサポートします。
病院や施設に通う必要が無いため負担が無く、好きな時間や曜日に訪問を受けられることが訪問看護の利点です。
事前に確認する4つのポイント
依頼者から突然「今日は訪問看護の予定を入れている」と聞かされることがあるかもしれません。
そのような場合でも、冷静に以下の4つのポイントを確認しておきましょう。事前に確認しておくことで慌てずスムーズに対処できます。
①訪問の時間はいつか
訪問看護は、前もって訪問する時間を事業所と利用者の間で定めているため、何時に来る予定なのかを確認しておきましょう。
昼食の時間をずらしたり、家事のスケジュールの調整が必要かもしれません。毎週決まった曜日と時間に訪問を取り決めているという事業所が多いので、今後も継続して同じタイミングで訪問があるのかを併せて依頼主に尋ねてみましょう。
②事業所と訪問スタッフの名前
近年では、悲しいことに事業所を装って高齢者の自宅に入ろうとする詐欺も少なからずあります。
そのため事業所と訪問スタッフの名前をきちんと聞いておくことは大切です。訪問スタッフが何らかの理由で変更になった場合は、対応できるように自分にも伝えて貰えるようにすると便利です。
③車を駐車する場所
東京23区などの大都市では、自転車を使って家まで来る訪問スタッフも多いようです。ですが基本的には車で訪問しに来ると考えて良いでしょう。最近ではマンションや集合住宅にはサービス車や来客用の駐車スペースが用意されていることが増えました。しかし一軒家や小さいアパートの場合は、車を駐車できるスペースが限られてくるため、依頼者に事前に確認しておきましょう。
確認しておかないと、近隣の家から「車庫と重なっているので駐車している場所を変えて欲しい」などの苦情が来ることがあります。
万が一苦情が来てしまったという場合には謝罪をし、訪問スタッフに声をかけて車を動かして貰うようにしましょう。
④電話番号の確認
訪問は予定していた時間を過ぎないように計画されているものの、道路の混み具合や急なトラブルが発生して約束していた時間に遅れてしまうことがあります。
そのような時にはこちらから確認の電話をする必要があったり、向こうから状況を説明するための電話がかかってくることがあります。
基本的に電話でのやり取りが中心になるため、正しい電話番号をきちんと確認しておきましょう。
今後、体調不良などの問題で「訪問看護の予定を電話でキャンセルして欲しい」と依頼者に頼まれる可能性があります。
訪問スタッフの電話番号だけでは無く、事業所の電話番号も確認しておくと、訪問スタッフが運転中だったり、他の家に訪問中で連絡がつかない場合でもスムーズに対応してもらうことができます。
訪問看護中にできること
訪問中は必ずしもそばで見ている必要はありません。ですが依頼者が希望していれば、邪魔にならない範囲で見守っていても良いでしょう。
訪問スタッフから自分の勤務内容に含まれている範囲で、依頼者の生活面でのサポートとなる提案を受けたならメモをしておきましょう。何か疑問点があれば遠慮せず聞いてみても構いません。
ちなみに支払い方法は事業所ごとに異なりますが、まとめて月末に銀行引き落としというケースが殆どなので、その場で支払う必要はありません。ごく稀に月末にまとめて手渡しで支払うという事業所もあります。
まとめ
ここまで具体的な対処方法をお伝えしましたがいかがでしょうか?
家政婦(夫)として働くなかで、依頼者の健康状態について普段から気になっている点がある場合は、訪問の際に看護師にそっと伝えておくことができるでしょう。
ただし家政婦(夫)というのは依頼者の親族や友人ではありません。ですから自分が何らかの決定権をもったり、依頼者のプライベートな事まで訪問スタッフに話さないようにしましょう。
慌てず落ち着いて、協力しながら依頼者をサポートできるように日々励むことが大切です。