家政婦(夫)として働くなかでは、高齢者の方のために食事を提供する場面も多くあります。
普段、高齢者に食事を作り慣れていないとどのようなことに気をつければ良いのかわからなくて戸惑ってしまうかもしれません。食欲の有無や栄養バランスは健康にも大きく関係しているため、慎重に考える必要があります。そこで料理する時や、食事のために普段から意識できる大切なポイントについて注目してみましょう。
食事提供の需要
日々の生活の中で、高齢者の方にとっても食事は楽しい時間の1つです。ですが歳を取るに従って身体の自由が効かなくなったり、材料を用意するのが難しくなったりと自炊することが困難な状況になってしまう事が多いのが現状です。そのような場合に、家政婦(夫)に頼んで作ってもらうという選択肢を選ぶ高齢者の方が増えています。
出前や外食では無く、誰かに作って欲しいという人の意見としては、「固さなど自分のニーズに合った料理を作って欲しい」「少ない量でも品数を多くしたい」などの意見があります。
高齢者の食事で大切なポイント
家政婦(夫)として、依頼主やご家族が楽しく元気に食事ができるように、一生懸命サポートしたいと思うでしょう。では具体的にどのようなポイントに気を付ければ良いのでしょうか。ここでは3つのポイントに分けて料理のスキルの有無に関係無く、誰でも簡単に行えることをお伝えします。
①食べやすい食材
高齢者の方の食事には「嚥下障害」という問題が生じます。これは食べて飲み込む力が弱まってしまっていることが原因です。堅い物や粒が大きいものだと時間がかかってしまい疲れてしまいます。
ですから食材はできるだけ柔らかいものにし、小さく切り分けて口に運びやすいサイズになるようにしましょう。具体的な料理や食材としては、おかゆ・シチュー・カレー・ハンバーグ・ヨーグルト・アイスクリームなどがあります。固い食材かどうか迷ってしまい食べてもらうのが不安な場合は、ミキサーにかけてしまうなどの対策ができます。
②必要な栄養
高齢者の方が不足しやすい栄養素として「たんぱく質」「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」などがあります。食物繊維は消化が悪かったり、噛み切りにくいなどの問題があり不足しやすい要素です。しかし食物繊維は繊維ごと切ってしまったり、皮を剥いておくなどの工夫で食べやすくすることができます。
全体的に栄養バランスの良い食事になるように努力しましょう。栄養バランスを整えることで体力を衰えさせず、健康管理も行えるのです。また医者から制限されている物は無いか事前に聞いておくと親切でしょう。
③レシピの工夫
見ただけで楽しくなるような彩りある献立にしましょう。旬の食材を積極的に使ったり、季節の行事に関係した料理もオススメです。ソースや香りにも気を使ってみるのはいかがですか?
食事が楽しいと思えるような時間になるようにサポートしていくことが大切です。高齢者の方にとって、生活の中での生きがいの1つになるかもしれません。
食べやすい環境をつくる
食事のために、料理以外でサポートできることはあるでしょうか?その1つに「口腔ケア」があります。口の中を清潔にしておくことで歯を健康に保つことができるため、入れ歯やインプラントでは無く、自分の歯で安全に食事を楽しむことができます。また口内炎や歯周病になるリスクも下がります。
特に歯周病は、認知症や糖尿病や骨粗鬆症などの病気の原因の1つだと考えられています。口の中の細菌が気管の中に入り込むと、誤嚥性肺炎になる可能性もあります。ですから歯磨きや口のメンテナンスは定期的に行う必要があります。
更に「食べる時の姿勢」も大切です。できるだけ正しい姿勢で食べられるように助けてあげましょう。椅子に座って食べられるという人の場合は、深く腰をかけて足が床に届くようにし、テーブルは肘が90度に曲がるぐらいの高さにセッティングしましょう。車いすの方もできるだけ足が浮かないようにして、床に届くようにすると食べやすいです。
ベッドで食事をする場合は、リクライニングの角度を45~80度程の保つのがオススメです。もちろん本人の希望を考慮したうえで行うのが重要です。こうしなければいけない!と決めつけて押し付けないようにしましょう。
他には「食べやすい環境」を作ることも意識しましょう。中断しないで済むようにトイレを済ませてから食事にしたり、部屋に気持ちが落ちつくような音楽をかけてあげるなどの気遣いを示せます。逆にテレビやラジオを消して静かに食べたいという方も居るので事前に要望を聞いておきましょう。
食べる前に手を洗ったり拭いたりして、清潔にしておくと風邪や病気の予防にも繋がります。
まとめ
依頼主の高齢者の方が、楽しんで食事を行えるように最善を尽くしましょう。
最近では新型ウイルスの影響もあり、自粛生活でいつもよりも家で過ごすようにしているという方も増えています。娯楽が減ったと感じる方も多いようです。
家で食事が楽しいひと時となるように努めていきましょう。