様々な理由があって訪問看護を利用したいと思った時に、何回訪問看護を利用することが出来るのか気になりますよね。
実は、訪問看護を利用するにあたって、利用回数に制限があることをご存知ですか?
訪問看護を利用する時には、回数や時間に制限がありますので、必ず自分や家族がどういった看護サービスで何の保険によって訪問看護を利用しているのかを把握しておかなければなりません。では、訪問看護の利用制限について詳しく紹介します。
1、訪問看護には利用制限がある
自分が一番落ち着くことが出来る自宅で、治療や看護をしてもらうことは非常に大切な時間になります。しかし、訪問看護の利用は制限があり、希望通りにたくさんの訪問看護を利用することは出来ないケースがあります。というのも、訪問看護は『医療保険』や『介護保険』といった公的な制度を活用して利用することになります。そのため、利用する人の健康状態や年齢に応じて利用制限があり、たくさん訪問看護を利用したいと思っても出来ない場合があります。特に医療保険を使用しての訪問看護の場合、年齢や病状、健康状態によっては週に1回程度しか受けられないこともある上に、利用時間も細かく決められています。
ですので、訪問看護による医療行為や看護サービスをきめ細かく受けたい場合や、利用回数を増やしたい場合には、違う方法での利用を検討する必要があります。
2、それぞれの保険に対する訪問看護の利用回数制限
先ほど述べたように、訪問看護を利用するにあたって回数や時間には制限があります。どの保険を利用し、どのような健康状態や年齢かによって、訪問看護の利用時間が異なりますので、自分が訪問看護によるきめ細かいサポートを受けたいと思っても、希望が通らないケースがあることを覚えておかなければなりません。では、それぞれの保険に対する訪問看護の利用回数について詳しくみていきましょう。
【医療保険の場合】
年齢が65歳以上であれば介護保険による訪問看護が適用されることがありますが、年齢がそれに満たない64歳以下の場合で、特定疾患が認められる場合には医療保険による訪問看護の利用になります。医療保険を活用しての訪問看護の場合には、特に細かく利用回数や時間が決められており、それに沿ってサービスや支援を受けることが出来ます。
医療保険を適用させるためには、医療保険の条件を満たす必要があります。16の特性疾患に該当し、かつ年齢が40歳以上64歳以下の場合は週に1~3回まで訪問看護を利用することが出来、時間は30分~90分でになります。
しかし、特に思い病気や症状がある方には、厚生労働大臣が定める疾病等に患っている方は週4回以上の訪問看護が可能になります。また長時間の訪問介護が必要になる時には、通常よりも長い時間である90分以上の看護サービスを受けることが出来ます。また、主治医により病状の悪化が見られた場合には、特別訪問看護指示書が交付され月に1回だけ14日連続の利用を受けることも出来ます。他にも特別訪問看護指示書が交付され、かつ、気管カニューレを使用している人と真皮を超える褥瘡(じょくそう)がある人の場合だと、28日連続利用することも可能になりますので、訪問看護を利用したいときには、自分または家族がどれに該当するかをしっかりと主治医に確認しておくことが大切です。
◆医療保険で90分以上の訪問看護を受ける対象となる人
・人工呼吸器を使用している状態である
・(人工呼吸器を装着していない)長時間の訪問を必要とする15歳未満の超重症児、準超重症児
・特別訪問看護指示書を受けている、急性憎悪や終末期、気管カニューレ、真皮を超える褥瘡
・特別な管理を必要とする患者(特掲診療科の施設基準別表代8に掲げる者)
1、在宅悪性腫瘍患者指導もしくは、在宅気管切開患者指導南里を受けている状態にあるもの、又は気管カニューレもしくは留置カテーテルを使用している状態にあるもの
2、在宅自己腹膜灌流(かんりゅう)指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理又は在宅肺高血圧症患者指導管理を受けているもの
3、人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にあるもの
4、真皮を超える褥瘡の状態にあるもの
5、在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定しているもの
【介護保険を利用する場合】
介護保険を使って訪問看護を利用するときには、利用回数に制限はありませんので、自分や家族の様子に合わせて利用することが出来ます。しかし、一回の利用時間には決まりがありますので、訪問看護を利用するときには注意が必要です。訪問看護での利用時間は以下になります。
①20分未満
②30分未満
③30分以上60分未満
④60分以上90分未満
利用時間はこの4つに分かれており、自分にとって必要な時間を選択して利用するようにしましょう。介護保険の場合、施設サービスなども受けながら訪問看護を利用する方が多いので、支給限度額内で収めようとすると訪問看護の回数を必然的に減らさなければならなくなることが多くなってしまいます。介護保険の他のサービスを利用しないで、訪問看護のみの場合であれば回数の制限もなく、自分に必要な回数、時間を選択して利用することが出来ます。
介護保険では複数のサービスを受けることが多く訪問看護のみに保険の利用をすることが難しくなり、医療保険では訪問看護を利用するときに回数の制限があるために、たくさん利用したくても利用することが難しくなります。
訪問看護を利用回数などの制限なくたくさん活用したい場合には、自費で訪問看護を利用することになります。自費の訪問看護だと、利用回数などの制限がなく、足りない分のサービスを必要な分受けることが出来ます。医療保険や介護保険と併用することも出来ますので、きめ細かいサービスや支援を受けるためには様々なパターンでの利用を考えることが重要です。自費での利用であれば、24時間いつでも受けることが出来る訪問看護サービスもありますので、自分のニーズにあった利用方法を選ぶようにしましょう。
◆保険別訪問看護回数
保険 | 利用回数 | 利用時間 |
介護保険 | 制限なし | ①20分未満 |
②30分未満 | ||
③30分以上60分未満 | ||
④60分以上90分未満 | ||
医療保険 | 週に1~3回 | 30分~90分 |
医療保険(特定疾患あり) | 週4回以上 | 週1回のみ90分以上可能 |
(※特に重い病気の場合のみ)
(超重症児、準超重症児は週3回まで) |
||
自費 | 制限なし | 制限なし(事業所の規定による) |
3、訪問看護の費用はいくら?
訪問看護は介護保険か、医療保険を活用して支援を受けることになりますが、それぞれによって費用は異なっていきます。また、医療保険の場合であれば年齢や健康状態も大きく関係しており、利用者によって費用は異なってきますので必ずいくらかかるということは断定できません。
例えば、医療保険の場合だと、かかった治療費や訪問看護費の1割から3割を自己負担し、あとは医療保険の方でカバーしてくれます。自己負担額の1割から3割というのは、年齢や所得によって異なりますので、その年度の自己負担額はいくらかというのも確認しておきましょう。また、自己負担額を超えて訪問看護を利用した場合には、自費での支払いになりますので注意して回数や利用時間を把握しておくことが大切です。
では、介護保険の場合はどうでしょうか?介護保険の場合、認められた介護度(要介護)によって費用が異なってきます。どの段階の介護度かで、保険から支給される限度額が異なりますので、その給付額によって訪問看護をどの回数や時間を利用するかを考えることが必要です。こちらも、給付金額を超えて訪問看護を利用した場合には自費負担になりますので注意しましょう。
要介護別の支給額は以下になります。自治体によって給付額に違いがありますので、必ず事前に自治体やソーシャルワーカー、ケアマネージャーに確認しておくようにしましょう。
◆要介護別給付限度額一覧
要介護度 | 給付限度額 |
要支援1 | 50,030円 |
要支援2 | 104,730円 |
要介護1 | 166,920円 |
要介護2 | 196,160円 |
要介護3 | 269,310円 |
要介護4 | 308,060円 |
要介護5 | 360,650円 |
(引用:訪問看護NAVI)
◆自己負担金の割合一覧
保険の種類 | 条件 | 自己負担金の割合 |
介護保険 | 要介護認定を受けている事 | 月額の1割が基本。 ※一定以上の所得がある場合には2~3割の場合も |
医療保険 | 義務教育の就学前 | 月額の2割 |
義務教育~70歳まで | 月額の3割 | |
70歳~75歳未満 | 月額の2割 ※所得によっては3割 |
|
75歳以上 | 月額の1割 ※所得によっては3割 |
(引用:日本訪問看護財団「訪問看護とは」)
4、まとめ
住み慣れた場所で看護を行うためのサポートとなる訪問看護ですが、利用回数には制限がある場合があり、実際には十分な支援やサービスを受けることが難しい場合があります。介護保険を利用する場合には制限がありませんが、年齢が達していないために医療保険で訪問看護を利用する場合には、回数や時間に制限がありますので、その中で利用していかなければなりません。もっと訪問看護の回数を増やすためには、自費による訪問看護が可能ですが、経済的に圧迫してしまう可能性がありますので十分に考えた上で利用することになります。自費での訪問看護の利用はデメリットが多く思われがちですが、公的な保険では行うことが出来ないサービスを各々の施設が行っていることもありますので、上手く活用していくことが大切です。
訪問看護を利用する場合には、ソーシャルワーカーやケアマネージャーなどの専門スタッフがしっかりと支援計画等を立ててくれますので、まずはそちらへ相談しどのような回数、時間を活用することが出来るのかを検討するようにしましょう。