自宅で適切な医療行為や生活の介助といったサービスを受けることが出来る訪問看護ですが、実際に訪問看護に来てくれる人はどこから派遣されてくるのでしょうか?実は病院やリハビリテーションステーションなど、医療行為や専門的な看護を行っている所から、訪問看護に特化しているまで様々な所があります。
今回は訪問看護へ派遣される事業所から、事業所選びのポイントまで解説します。
1、訪問看護を利用するには専門施設との契約が必要
まず最初に訪問看護を利用するために、介護保険や医療保険を活用しケアマネージャーと連携してサービスや支援計画を立てて行います。その際に、訪問看護事業を行っている専門施設との契約を行い、初めて訪問看護がスタートします。訪問看護を利用するために、専門施設と契約を行いますがいったいどのような施設があるのでしょうか?訪問看護を利用することが出来る施設は以下になります。
・訪問看護ステーション ・保健医療機関
・定期巡回、随時対応型訪問介護看護 ・看護小規模型多機能型居宅介護
・民間の訪問介護サービス事業所
この5つの中から、自分や家族が必要とする訪問看護に最適な施設を選択し契約を交わします。そうすると、訪問看護を始めることが出来ます。では、それぞれどのような施設なのでしょうか?
【訪問看護ステーション】
訪問看護ステーションとは、自宅で療養を行いたい人に対して訪問看護を行うために、看護師や保健、理学療法士といった専門知識を有した人が所属し運営されています。
訪問看護ステーションの管理者は保健師や看護師になっており、理学療法士や言語聴覚士、作業療法士といったリハビリに特化した専門委員も在籍し看護だけでなくリハビリのサポートも受けることが出来ます。
訪問看護ステーションは介護保険や医療保険を使用して、訪問看護を利用することが出来ますが保健医療機関ではありません。主治医からの指示書をもらうことで、訪問看護ステーションから支援やサポートといったサービスを受けることが出来ます。あくまでも独立した事業所や機関になりますので、小さな規模の訪問看護ステーションが多く存在します。現在は全国に10000か所以上の訪問看護ステーションがあり、それぞれの施設に特色がありますので利用施設の選択肢が増えてきています。また、施設それぞれ特化した部分や強みがありますので、中には保険外の訪問看護を行っている施設もあります。
たくさんの訪問看護ステーションがあるために、自分にあった最適な訪問看護ステーションを選択することが出来るようになりました。自治体のホームページで訪問看護ステーションがどこにあるかなどの詳細を調べることが出来ますので、訪問看護を利用する際には1つの目安として調べておきましょう。
【保健医療機関】
医療保険機関とは病院や診療所といった医療行為を行う施設で、訪問看護の部門を設置しているか、もしくは外来部門が兼任して訪問看護サービスを行う機関のことを指します。訪問看護ステーションと同様に、介護保険や医療保険を使用しての訪問看護の利用になりますが、この場合には介護保険法のみなし指定訪問看護事業所という扱いになります。
【定期巡回、随時対応型訪問介護看護】
介護保険制度の地域密着型サービスの中の1つで、平成24年から始まったサービスです。定期的に巡回を行いながら訪問介護と訪問看護を一体として24時間体制で在宅サービスを行うことが出来ます。要介護が高い人や、認知症が進行している人であっても住み慣れた自宅で生活を行うことが出来ます。本人に専用の携帯電話などを配布し24時間受付を行っているので、家族や本人からの連絡を受けて相談援助やヘルパーによる訪問が必要かどうかを判断し、連絡を行います。24時間の対応になりますので、緊急訪問などにも応じることが出来ます。
【看護小規模型多機能型居宅介護】
看護小規模型多機能型居宅介護は通称「かんたき」と言われる施設で、「通い」「泊まり」「訪問看護、リハビリ」「訪問介護」「ケアプラン」のサービスを一体化して、看護師を中心に一人一人に最適なサービスや支援を行うことが出来る施設です。医療行為による治療やサポートが必要な方にも、看護師が細かい対応を行うことが出来る上に、ターミナルケアといった最期まで自宅で過ごしたいという方にもケアを行います。看護小規模型多機能型居宅介護は、定期巡回、随時対応型訪問介護看護と同様に平成24年に新しくスタートし、入所介護や通所介護でのサポートだけでなく、訪問看護の点でも介護と看護の両面を併せ持つ柔軟なサービスを行うことが出来る複合施設になります。
【民間の訪問看護サービス事業所】
訪問看護は介護保険や医療保険といった公的な保険制度を利用して支援やサービスを受けることになりますが、民間の訪問看護サービス事業では公的な保険制度が適用されないサービス事業所です。訪問看護ステーションや医療保険機関などと違い自費での利用になりますが。公的な制度を利用する施設とは違いオリジナルに富んだ内容が充実していることが多く、きめ細かい支援を行うことが出来ます。遠い山間部への訪問看護に対応していたり、病院へ一緒に受診するサポートを行ったりと、一般的には保険で対応しづらい訪問看護サービスが充実しています。
このように、訪問看護といっても様々な施設があり、支援内容や年齢によって最適な施設から訪問看護サービスを受けることが出来ます。内容や時間などはそれぞれ異なりますので、ケアマネージャーと共に支援計画を立てて訪問看護施設と契約を行うようにしましょう。
2、訪問看護に来てくれる人は看護師?実は看護師以外の場合も
訪問看護は「訪問看護ステーション」「医療保険機関」「定期巡回、随時対応型訪問介護看護」「看護小規模型多機能型居宅介護」「民間の訪問介護サービス事業所」から派遣され、看護や自宅での生活面の介助をサポートしていきますが、実際に訪問看護の場合にはどのような人が来るのでしょうか?
訪問看護を行う際には、たくさんの専門的な知識を有している人が関わってサポートしていきます。最初に訪問看護の支援計画を一緒に立てていくのがケアマネージャーです。そして、そのプランに沿って最適な人が自宅に看護していきます。
訪問看護の場合にはホームヘルパーや介護福祉士といった方が身体介護や生活の援助といった生活面のサポートを行っていきます。他にも、医療行為などの支援であれば看護師であったり、リハビリテーションなどであれば理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった専門的なリハビリを行うことが出来る人からリハビリを受けることが出来ます。また、介護の面での支援が必要な場合には介護福祉士が主に訪問看護に訪れてくれます。
このように、訪問看護といっても支援内容によって、来てくれる人も異なりますので、まずはケアマネージャーと共に支援内容を考えていくことが大切になります。
3、訪問看護ステーションの選び方のポイントつ
訪問看護事業には、公的な保険制度以外のサービスを行う機関だけでなく、民間の企業も参入していますので、サービスの幅が各段に広がっています。その人それぞれに適した訪問看護を受けることが出来るようになってきたことは、訪問看護が発展したために受けられる大きな魅力の1つになります。公的な保険制度を利用しながらも、さらに充実したサービスを受けるためには、公的な保険制度以外のサービスも合わせて活用していくことが細かい看護を行うことに繋がります。
訪問看護事業はたくさんの施設や機関がありますので、内容が同じ場合であればどの施設と契約を行っても大丈夫ですが、やはり、良い施設や自分や家族にあった施設を選びたいですよね。
では、訪問看護ステーションの選び方のポイントを紹介します。
①自宅から近いエリアを絞る
先ほど述べたように、民間の看護保険サービス事業所であれば遠方の訪問看護も行うことが出来るようになりますが、やはり近い場所に訪問看護サービスを行うことが出来る施設があれば臨機応変に対応することが出来ます。
また、距離によって料金編成が異なることもありますので、訪問看護エリア内に対応確認しておきましょう。徒歩圏内か、車でどの程度時間がかかるのか、など自分の中の許容範囲を事前に考えておき、そこから考えるようにしましょう。
②対応時間を考える
訪問看護の場合、入所施設のように24時間体制で体調などを把握しているわけではありません。ですので、どうしてもいざという時の対応が遅れてしまう可能性があります。逆に24時間体制を目指している施設の場合であれば、いざという時も対応を行うことが出来ます。訪問看護の場合、出来れば24時間見てくれるところを選ぶといいでしょう。
③担当してくれる人が専門的な知識が深いかどうか
訪問看護を選択する場合、怪我や事故だけでなく病気の場合もありますので、専門的な知識がしっかりと入っている人が訪問看護の計画プランを考えることが重要です。病状に即した計画を考えられる人や、看護サービスと合わせて考えられることが大切です。特に訪問看護の場合、医療行為だけでなく生活面のサポートという点もあります。生活面での支援が必要か、医療行為が必要かを考えておき、ケアマネージャーと共にサービス内容を考えていきましょう。
④施設全体でどのようなスタッフがいるかどうか
訪問看護の場合だと、その本人が受けたい在宅のサービスがあっても、いつなんどき他のサポートが必要になるかわかりません。ですので、訪問看護施設には専門看護師が一定以上いることが望ましいです。理学療法士や作業療法士といった専門的な看護が出来る人が在籍していることで、急な事例の際にも迅速に対応することが出来ます。また、スタッフの人間性も大切で、どのような人が働いているかを確認するために、気になる施設を見学することもおすすめです。
訪問看護ステーションの選び方4点を紹介しましたが、訪問看護は一旦決定してしまうと、気に入らなかったからすぐに契約を破棄したり、変更するということは難しくなりますので、安心し楽しく訪問看護でサポートを受けるためにも、事前に見学にいったりして情報を集めていくことが大切です。
4、まとめ
訪問看護では、ケアマネージャーが支援計画をしたのちに訪問看護施設と契約を交わして訪問看護支援をスタートします。一旦、施設と契約をしてしまうと中々解約をすることに対して億劫になってしまったり、また半年単位などで契約してしまうと解約がすぐに出来ない可能性があります。
訪問看護をスムーズに利用するためにも、ケアマネージャーとの相談が始まった時あたりからそれぞれの施設を見学してみたり、話を聞いてみたりするとどんな人が来訪してくれるのかイメージしやすくなります。現在は訪問看護施設も徐々に増えてきていますので、各自治体や近隣にある訪問看護施設を調べておき目星をつけていくことで、訪問看護を利用した時に残念な思いをすることも減らすことが出来ます。訪問看護の利用を考えている場合には、一度事前に訪問看護施設について調べておくようにしましょう。